我々は、バイオテクノロジーや情報技術(IT)を組み合わせ、生体情報学やバイオエレクトロニクス・バイオオプティクス・バイオMEMSなどの学際融合領域の研究を行っています。その研究の一つとして、生化学式ガスセンサ(バイオスニファ)の研究開発を行っています。この研究は、採血によらず血液中の成分の変化を捉えるものです。その中で、呼気や皮膚ガスに我々は注目しています。特に、皮膚ガスでセンシングできれば、ウェアラブルで非侵襲にかつ連続計測をすることが可能になります。
我々は、これを実現するために、企業がもつ商品開発力と融合し、研究開発を進めていきます。具体的には、本プロジェクトでは、超高感度ガス計測デバイスを搭載した小型ウェアラブル計測端末により、有酸素運動時や糖尿病の状態により著しく濃度変動する血中アセトンをセンシングします。将来的には、MEMS集積化によりセンサアレイ化し多様な成分を解析することで、経皮ガスによる血糖値評価へとつながります。さらに、腫瘍由来の揮発性成分が特定されることで、生体ガスによる癌の超早期診断法が可能となります。
(2019年9月 東京医科歯科大学 教授 三林浩二)
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